著者:堀江 (YI’N YANG GINZA)
こんにちは!今回のテーマは「腰痛」。腰痛、本当につらいですよね。
『腰痛は人類の宿命?!』
腰に違和感感じてきた…いや、まだ大丈夫と放っておくと、いつの間にやら背中が張り、あれよあれよと肩首、背面、全て凝る。
…ああもう何にも集中出来ない!タスケテ。。!
腰は、人体の要
そう、腰は、人体の要。にくづき(月)に要と書いて、腰と読む。
腰を庇うと動きは鈍く、動かぬ身体は衰えやすく、筋骨衰えまた腰痛…腰痛の放置は悪循環の始まり。腰は、人間の体を支え、生活を営んでいく上でとっても大事な場所なのだ。
我らが人類は、祖先さま達が直立二足歩行を獲得したおかげで、両手を自由に、そして他では類をみない脳の発達を獲得してきたけれど、一方、腰部の骨格はその進化スピードに追いつかなったのか、現状、人間の腰はとても絶妙なバランスで成り立っている。
四つ足から身体を直立させるため、その背骨を重力に抗って引き起こし、こうして直立した上半身を、背骨と連結する骨盤が支え、下半身に繋がっている。
発達した頭部を含む上半身は重く、この垂直方向の力を分散させるため、背骨はS字カーブ状に進化した。
しかし一方で、背骨の下部と連結する骨盤の上面は、30°ほど前傾を残したままとなり、重い上半身を支える腰部は不安定な構造で負担が大きい。
そして、これら不安定さを含んだ骨格を、身体の背面や前面の様々な筋肉が巧妙に作用し合って支えている。
こんな絶妙な構造だ。各所で支え合い巧みに保たれていた腰部の均衡は、何らかの身体のバランスの崩れが影響しないはずはない。
そう、腰痛は、ある意味現代人いや人類にとって必然の病で、ある調査では、生涯で腰に何らかの違和感を感じない人はいないとも言われている。
数千年より以前から、腰痛と共に歩んできた鍼灸治療
そんなわけで、人間ゆえのウィークポイントの腰。我らが祖先さま方も“コシ、大事だからな…!”そんな想いを腰という字にしたためてきたのだろう。
そして既に数千年前には、鍼灸や漢方薬を用いた腰痛治療がなされており、中国最古の医学書『黄帝内経』にも既に“刺腰痛篇”といって、腰痛だけについてまとめられた章が存在している。こんな長ーーーい歴史と数えきれない研究が積み重なって今の鍼灸治療に繋がっている。
腰部の絶妙な構造を考えると、身体のバランスの崩れが腰部に影響がありそうなことは想像に容易いが、現代の医学では腰痛の約8割が”非特異的腰痛”と言われ、原因不明とされている。
東洋医学では、気血水と呼ばれる物質や経絡・臓腑などの存在を想定し、それらの滞りや不足で身体のバランスが崩れ、結果として腰痛を引き起こすと考えるが、鍼灸治療では、これら滞りの原因を見つけ、鍼やお灸でお身体に働きかけて、本人の力で巡らせる状態を目指していく。
腰痛にもいろいろなタイプがある
一口に腰痛と言っても冷えて重だるく痛んだり、足のしびれを伴ったりなど、痛みの性質や悪化要因は千差万別。
東洋医学的にも、巡りが滞る原因は様々で、捻挫や古傷が血の通り道を邪魔したり(血瘀)、体内の水分が停滞+冷えてより凝縮したり(寒湿)、老化や長い闘病で生命エネルギーが落ちたり(腎虚)etc...実際には、いくつかの要因が重なっていることも多々あり、個人個人でそれぞれ治し方も変わってくる。
当院の鍼灸治療では、きめ細かくお身体の状態をみて、患者さまお一人おひとり違う原因を探り、時には生活習慣のアドバイスもしながら、患者さまご自身のお身体で滞りを解いていくお手伝いをしていきます。
ただでさえ、腰は人類のウィークポイント。
そこに過度のストレス、加齢、暴飲暴食、オーバーワークに運動不足…これらが複雑に絡んだ日常を、身体は一心に受け止めながら生活している。
そして人間は、自分で治ろうとする力も持っていて、腰痛は、そんな身体を支える腰からのサインと言えるのかもしれない。
鍼灸治療をきっかけに心身を整え、ご自身の治るチカラを引き出していきませんか。