腰痛・腰の痛みの鍼灸治療– category –

症状腰痛・腰の痛みの鍼灸治療

目次

腰痛とは

腰痛は、腰の部分に痛みを感じる状態を指します。
腰は、体の中心部に位置するため、体の重さを支える役割を持っています。
腰痛は、腰の筋肉や骨、椎間板、神経などに問題がある場合に発生することがあります。

腰痛は、急性腰痛と慢性腰痛に分けられます。急性腰痛は、突然発生し、通常は2週間以内に自然に治まることが多いです。
一方、慢性腰痛は、長期間にわたって痛みが続く状態を指し、3か月以上継続することがあります。

腰痛の原因は、様々なものがあります。
筋肉や靭帯の炎症、脊椎の変形、神経の圧迫などが挙げられます。
また、過度な運動、長時間の同じ姿勢での作業、腰への急激な負荷、肥満などが腰痛の原因となることがあります。

腰痛には、安静にしていることが最善策である場合がありますが、医師の診断や治療が必要な場合もあります。適切な治療を受けることで、腰痛を和らげることができます。

種類

腰痛には、以下のような種類があります。

  1. 筋肉系の腰痛
    筋肉や靭帯などの筋肉系の問題が原因で、急性腰痛や腰部痛症候群などが含まれます。
  2. 神経系の腰痛
    腰の神経に問題がある場合に起こる腰痛です。
    坐骨神経痛や脊柱管狭窄症などが含まれます。神経が圧迫されたり、刺激されたりすることで、腰痛を引き起こすことがあります。
  3. 椎間板系の腰痛
    腰椎の椎間板に問題がある場合に起こる腰痛です。
    ヘルニアや椎間板変性症などが含まれます。
    椎間板が損傷したり、変形したりすることで、腰痛を引き起こすことがあります。
  4. 骨系の腰痛
    腰椎の骨に問題がある場合に起こる腰痛です。
    骨折や腰椎すべり症などが含まれます。骨に損傷があることで、腰痛を引き起こすことがあります。
  5. 腹部疾患に関連する腰痛
    腹部疾患には、急性胆嚢炎、急性腹膜炎、急性腸炎、子宮筋腫など腰痛を引き起こすものがいくつかあります。

これらの種類の腰痛は、それぞれ原因や症状が異なるため、正確な診断と適切な治療が必要です。
腰痛が長期間続く場合や、重度の痛みがある場合は、医師の診断や治療を受けることをお勧めします。

発症のメカニズム

腰痛は、様々な原因によって引き起こされますが、一般的には以下のようなメカニズムによって発生します。

  1. 筋肉の痛み
    長時間同じ姿勢を続けたり、激しい運動を行ったりすることで、腰の筋肉が疲労し、炎症を起こすことがあります。このような筋肉の痛みによって、腰痛が引き起こされます。
  2. 神経の圧迫
    腰椎や脊柱管などの構造物に問題がある場合、神経が圧迫されることがあります。
    例えば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のような病気では、神経が圧迫されて痛みを引き起こします。
  3. 椎間板の損傷
    腰椎の椎間板に問題がある場合、椎間板が炎症を起こしたり、損傷したりすることがあります。
    このような場合、椎間板から出た物質が周囲の神経を刺激するため、腰痛を引き起こします。
  4. 骨の病気
    腰椎の骨に問題がある場合、骨が破損したり変形したりすることがあります。
    このような場合、骨が周囲の神経を刺激するため、腰痛を引き起こします。

これらのメカニズムは複雑で、一つの原因だけでなく複数の原因が絡み合って腰痛が引き起こされることがあります。正確な診断と適切な治療が必要です。

こんな腰の痛みには要注意

腰痛には、危険な状態がいくつかあります。以下に腰痛の危険な兆候をいくつか挙げます。

  1. 足のしびれや脱力感
    腰痛と一緒に足のしびれや脱力感が出る場合は、神経の圧迫や損傷が考えられます。この場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。
  2. 尿や便が出にくい、コントロールできない
    腰痛と一緒に排泄に問題が出る場合は、尿や便の通り道に問題がある可能性があります。この場合も、早急に医療機関を受診することが必要です。
  3. 突然の腰痛
    突然腰痛が起き、それまで痛みがなかった場合は、脊椎の損傷や病気が考えられます。これらの状態は早期に診断し、治療することが必要です。
  4. 痛みが強い
    腰痛が強く、日常生活に支障をきたす場合は、早急に医療機関を受診することが必要です。病気や炎症の疑いがある場合があります。
  5. 痛みが長期間続く
    腰痛が長期間続く場合は、脊椎の損傷や病気、またはストレスや不安など心因的な要因が考えられます。長期間続く場合は、医療機関を受診し、原因を探る必要があります。

腰痛の症状は個人差があり、上記の症状が必ずしも危険な状態を示すわけではありません。しかし、これらの兆候がある場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。

腰痛に鍼灸が効果があるのはなぜ?

腰痛と鍼灸

痛みの抑制

鍼灸は、末梢神経を刺激し、中枢神経系の活性化や神経伝達物質の放出を促進することにより、腰痛の緩和効果があるとされています。
鍼灸は、局所的な痛み閾値を上昇させることができます。
つまり、鍼灸によって刺激された局所的な領域は、痛みを感じにくくなります。この効果によって、腰痛の緩和が期待できます。

血行改善

鍼灸は、血行を促進する効果があり、局所的な血流量の増加によって、筋肉や関節に十分な酸素や栄養素を供給し、炎症を軽減することができます。

筋肉の緊張緩和

鍼灸は、筋肉の緊張を緩和することができます。筋肉が緊張していると、腰痛を引き起こすことがあるため、筋肉の緊張緩和効果が腰痛の緩和につながるとされています。

これらのメカニズムによって、鍼灸治療が腰痛の緩和に寄与するとされています。

腰痛に対する鍼灸はどんな場所に鍼をするの?

腰痛に対する鍼灸治療では、腰周辺の筋肉に鍼を刺すことが一般的です。
具体的には、以下のような場所に鍼を刺すことがあります。

  1. 腰部の筋肉
    腰痛の原因として、腰部の筋肉の緊張や硬直があげられます。鍼を刺すことで、腰部の筋肉を緩め、血行を促進することができます。
  2. 臀部の筋肉
    腰痛の原因の一つに、臀部の筋肉の緊張があります。臀部の筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張をほぐし、腰痛の緩和につながることがあります。
  3. 腰仙関節
    腰痛の原因の一つに、腰仙関節周辺の筋肉の緊張があります。腰仙関節周辺の筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張をほぐし、腰痛の緩和につながることがあります。

ただし、鍼灸治療は個人差があるため、鍼を刺す場所や治療方法は、患者さんの症状や体質に合わせて変化することがあります。

当鍼灸院で腰痛が改善した治療例

当鍼灸院の腰痛が改善した治療例をいくつか紹介します。

症例1.慢性定な腰痛、坐骨神経痛

患者:45歳の男性
症状:腰痛がずっと続いており、座っているときや歩くときにも痛みがある。腰椎MRIでL5-S1にヘルニアが確認された。
原因: 長時間のデスクワーク、運動不足が原因と考えられた。
治療:週に2回の鍼灸治療を8週間行った。 全身のバランスを整える治療を行った上で、腰部意外にも臀部やふくらはぎ、太ももにかけての血行不良による筋緊張がみられた為、患部に鍼やお灸を使って緩める治療を行った。
結果:治療後、腰痛の頻度や強度が減少し、日常生活の動作が楽になる。治療後には姿勢不良も改善された。
セルフケアなどのアドバイス:運動療法やストレッチなどを指導し、再発を防ぐための生活習慣の改善をアドバイスした。

症例2.急性な腰痛、下肢のしびれ

患者:35歳の女性
症状:腰痛が急に始まり、歩くこともままならないほど強烈な痛みがあります。
原因:腰椎MRIでL4-L5にヘルニアが確認された。スポーツ中の怪我が原因と考えられた。
治療:週に3回の鍼灸治療を4週間行った。腰部に加えて骨盤周囲の硬さや、強い痛みからくる背中全体の強張りが見られたために全身の調整を行った後に、患部や首や肩、背中全体の血行を良くする鍼やお灸の治療を行った。
結果:治療後、腰痛の強度が軽減され痺れもほとんど起こらなくなり、歩くことができるようになりました。

症例3.仕事中の腰痛

患者:30歳の男性
症状:長時間のデスクワークが原因で、腰部の筋肉が硬く、痛みが強い。
原因:デスクワークによる姿勢不良が原因で、腰部に炎症が生じていた
治療:鍼灸治療を1週間に2回行った。痛みが強い箇所は冷えが強かったために鍼やお灸を使って筋肉の緊張を緩め、血流を良くする治療を行い、腰全体を温める鍼灸治療を中心に行った。
結果:治療後、腰痛が軽減され、デスクワーク中に痛みが起こる頻度が減少しました。
セルフケアなどのアドバイス:安静にすること、湿布やアイシングなどで炎症を抑えることをアドバイスした。

これらの症例は、腰痛に対する鍼灸治療が症状の改善に役立つことを示しています。

セルフケア

腰痛に良いセルフケアには以下のような方法があります。

  1. 適切な姿勢を維持する
    腰痛を防ぐためには、常に正しい姿勢を保つことが重要です。デスクワークをする場合は、デスクの高さを調節し、正しい姿勢を保つように心がけましょう。
  2. 運動
    腰痛を予防するためには、腰回りの筋肉を鍛えることが重要です。運動によって筋肉を強化することで、腰への負担を減らすことができます。特に、腰周りの筋肉を鍛えるエクササイズが効果的です。
  3. ストレッチ
    腰痛を予防するためには、腰周りの筋肉を柔らかくするストレッチも重要です。ストレッチによって筋肉の柔軟性を高め、腰への負担を減らすことができます。
  4. 温める
    腰痛がある場合には、温かいシャワーを浴びる、温かい湿布を貼る、湯たんぽを使うなど、腰を温めることが効果的です。温めることで血流が良くなり、筋肉の緊張が緩和されます。
  5. マッサージ
    腰痛がある場合には、マッサージによって筋肉をほぐすことが効果的です。自分でマッサージすることもできますが、プロにお任せするのも良いでしょう。
  6. 休養
    腰痛がある場合には、休養も大切です。無理な運動や重い荷物の持ち運びは控え、腰に負担をかけないように心がけましょう。また、寝るときには適切なマットレスや枕を使うことも重要です。

腰痛の鍼灸治療に関する論文や研究は多数存在します。以下にいくつかの代表的な論文や研究を紹介します。

腰痛の鍼灸治療に関する論文や研究結果

  1. Acupuncture for chronic low back pain: a randomized placebo-controlled study. Cherkin DC, Sherman KJ, Avins AL, et al. Ann Intern Med. 2009 Jul 7;151(1):24-31.

この研究は、慢性腰痛患者を対象にしたランダム化プラセボ対照試験であり、鍼灸が有効であることを示しています。鍼灸群とプラセボ群を比較した結果、鍼灸群の方が有意に痛みが軽減されたと報告されています。

  1. Acupuncture for low back pain: a systematic review. Furlan AD, van Tulder MW, Cherkin DC, et al. Spine. 2005 Apr 15;30(8):944-63.

この研究は、腰痛に対する鍼灸治療の有効性を検証するために、過去の研究をシステマティックに分析したメタ解析です。腰痛患者を対象にした28のランダム化比較試験が対象で、鍼灸がプラセボと比較して有意に痛みを緩和することが示されました。

  1. Acupuncture for acute non-specific low back pain: a randomized, controlled, double-blind, placebo trial. Leung L. Spine. 2012 Apr 1;37(7):E384-93.

この研究は、急性非特異的腰痛患者を対象にしたランダム化プラセボ対照試験であり、鍼灸が有効であることを示しています。鍼灸群とプラセボ群を比較した結果、鍼灸群の方が有意に痛みが軽減されたと報告されています。

これらの研究から、鍼灸が腰痛の治療に有効であることが示唆されています。

コラム&Blog

1