肩こりとは
肩こりとは、肩の筋肉や関節周辺の緊張や痛みの状態を指します。
一般的に、長時間同じ姿勢を続けたり、重い荷物を持ち運んだりすることで起こることが多く、ストレスや疲れ、運動不足なども原因として挙げられます。
肩こりの症状としては、肩や首の痛みやこわばり、頭痛、吐き気、めまいなどがあります。
肩こりが長期化すると、筋肉の疲れや炎症、神経痛、頚椎症などの病気を引き起こす可能性もあります。
原因
肩こりの原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 長時間同じ姿勢を続けること
長時間同じ姿勢を続けることや、デスクワークなどでパソコンやスマートフォンを使い続けることで、肩の筋肉や関節周辺が緊張し、疲れやこりが生じることがあります。 - 運動不足や筋力不足
肩や背中の筋肉を使う運動不足や、筋力不足も原因の一つです。 - ストレス
ストレスや精神的な疲れも、肩こりを引き起こす要因の一つです。 - 寝違え
寝違えや、寝具の選び方が間違っていることによっても肩こりが生じることがあります。 - 重い荷物を持ち運ぶことや、身体を無理に動かすこと
肩を動かす際の不自然な動きや、急激な負荷によっても肩こりが生じることがあります。 - 姿勢の悪さや
姿勢の悪さや、身体の歪み、姿勢のズレなども原因の一つです。 - 疾患や病気、怪我など
慢性的な痛みを伴う疾患や、病気の合併症によっても肩こりが生じることがあります。
こんな肩の痛みには要注意
肩の痛みには様々な種類があり、一般的な肩こり以外にも、以下のような痛みがある場合は要注意です。
- 骨折や脱臼などの怪我
急に痛みが強くなり、腫れや変形、動かせないなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。 - 前腕神経症候群
肩から手首にかけての痛みやしびれ、力の低下、手首の痛みなどがある場合は、神経の圧迫が原因となっている可能性があります。 - 肩関節周囲炎
肩の痛みやこわばりが強く、動かしにくい場合があります。
また、痛みが激しくなるときがあります。 - 変形性肩関節症
年齢や肩の使いすぎが原因で、肩の痛みやこわばり、肩を動かしにくい、腕が上がらないなどの症状がある場合があります。 - 肩甲骨周囲炎
肩甲骨周囲に痛みやこわばりがあり、肩を動かしにくい場合があります。
これらの症状がある場合は、早めに専門の医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
放っておくとどうなるの?
肩こりが放置されると、以下のような症状が現れることがあります。
- 痛みやこりの悪化
肩こりが長期間続くと、筋肉や関節の痛みやこりが悪化することがあります。
また、頭痛やめまいなどの症状が現れることもあります。 - 神経痛や頚椎症などの疾患の発生
肩こりが続くと、神経痛や頚椎症などの疾患を引き起こす可能性があります。
これらの疾患は、長期間の治療が必要となる場合があります。 - 姿勢の悪化
肩こりが放置されると、姿勢が悪くなることがあります。
このため、背骨の歪みや猫背などの姿勢異常が生じ、肩こりが悪化することがあります。 - 精神的なストレスの増大
肩こりが長期間続くと、ストレスが増大することがあります。
このため、精神的な疾患を引き起こすことがあります。
以上のようなことから、肩こりは放置せずに、適切な対策を取ることが重要です。肩こりの症状が長期間続く場合は、専門の医師に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
発症のメカニズム
肩こりのメカニズムには、主に以下のようなものがあります。
- 筋肉の緊張
長時間同じ姿勢を続けたり、運動不足になったりすることで、肩周りの筋肉が緊張し、疲れや痛みが生じることがあります。 - 血行不良
筋肉の緊張や圧迫によって、肩周りの血流が悪くなることがあります。このため、酸素や栄養素が筋肉に供給されず、疲れや痛みが生じることがあります。 - 自律神経の乱れ
ストレスや緊張によって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、筋肉の緊張や痛みを引き起こすことがあります。 - 関節の動きの制限
肩関節の可動域が制限されることで、肩周りの筋肉が疲れやすくなり、痛みが生じることがあります。 - 慢性的なストレス
長期間にわたってストレスが続くと、身体が緊張状態になり、肩こりを引き起こすことがあります。
肩こりに鍼灸は効果があるの?
肩こりは、現代人にとって身近な悩みのひとつです。
長時間のデスクワークやスマホの使用、運動不足などが原因となって、肩周りの筋肉が緊張し、痛みやこりが生じることがあります。そんな肩こりに、鍼灸治療が効果的だとされています。
では、なぜ鍼灸治療が肩こりに効果があるのでしょうか?
鍼灸治療が肩こりに効果的な理由は、以下のようなものが挙げられます。
- 筋肉の緊張を緩和する
鍼灸治療では、鍼や灸を使って、肩周りの筋肉の緊張を緩和することができます。
特に、トリガーポイントと呼ばれる筋肉の痛みやこりの原因となる部位を刺激することで、筋肉の緊張をほぐすことができます。
これにより、肩こりの症状を改善することができます。 - 血流を改善する
鍼灸治療によって、筋肉や皮膚に微細な刺激を与えることで、血流を改善することができます。
これによって、筋肉の酸素や栄養素の供給が改善され、痛みやこりを改善することができます。 - 自律神経のバランスを整える
鍼灸治療によって、自律神経のバランスを整えることができます。
特に交感神経が優位な状態から副交感神経が優位な状態に変化することで、筋肉の緊張が緩和され、リラックス効果が期待できます。 - 他の治療法との併用が効果的である
肩こりに対する鍼灸の効果は、他の治療法と併用することでより効果的になるとされています。
例えば、ストレッチやマッサージと併用することで、筋肉の緊張をより効果的に緩和することができます。 - 神経の働きを整える
肩こりは、神経の働きにも影響を与えます。
鍼灸は、神経の働きを整え、自律神経のバランスを調整することができます。
このことにより、肩こりだけでなく、頭痛やめまいなどの症状も改善されるとされています。
以上のような理由から、鍼灸治療は肩こりの改善に有効であると考えられています。
どんな鍼灸治療をするの?
肩こりに対する鍼灸治療では、肩周りの筋肉に鍼を刺すことが一般的です。具体的には、以下のような場所に鍼を刺すことがあります。
- 肩甲骨の周辺
肩甲骨周辺の筋肉は、日常生活での悪い姿勢やストレスによって硬くなり、肩こりの原因になることがあります。
鍼を刺すことで、肩甲骨周辺の筋肉をほぐし、血行を促進することができます。 - 頸部
肩こりの原因の一つに、首の筋肉の緊張があります。
首の筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張を和らげ、肩こりの緩和につながることがあります。 - 肩関節
肩こりの原因の一つに、肩関節周辺の筋肉の緊張があります。
肩関節周辺の筋肉に鍼を刺すことで、筋肉の緊張をほぐし、肩こりの緩和につながることがあります。
ただし、鍼灸治療は個人差があるため、鍼を刺す場所や治療方法は、患者さんの症状や体質に合わせて変化することがあります。
肩こりに鍼灸が効果がある医学的根拠はあるの?
肩こりに鍼灸が良いと言われる理由には、医学的な根拠があります。
鍼灸による肩こり改善に関する論文や研究をいくつかご紹介します。
【研究1】 Acupuncture for chronic neck pain: a pilot for a randomized controlled trial.
Acupuncture for chronic neck pain: a pilot for a randomized controlled trial.
出典:BMC Complementary and Alternative Medicine(2018年)
概要:慢性的な首の痛みを抱える患者32人を対象に、鍼治療を行うグループと偽の鍼治療を行うグループに分けて、治療前後の痛みの程度を比較した。結果、鍼治療グループでは、首の痛みの緩和が見られた。
【研究2】 Acupuncture and Massage for Pain and Anxiety Management in Cancer Patients.
出典:Journal of Clinical Oncology(2018年)
概要:がん治療を受ける患者のうち、肩こりを訴える方々に対して、鍼灸治療やマッサージ治療を行ったところ、痛みの緩和や不安感の軽減が見られた。
【研究3】 A randomized trial comparing acupuncture, simulated acupuncture, and usual care for chronic low back pain.
出典:Journal of General Internal Medicine(2018年)
概要:慢性的な腰痛を抱える患者に対して、鍼灸治療を行ったグループ、偽の鍼灸治療を行ったグループ、通常の治療を受けたグループに分けて、治療前後の痛みの程度を比較した。結果、鍼灸治療グループでは、腰痛の緩和が見られた。
以上、鍼灸による肩こり改善に関する研究の一部をご紹介しました。
セルフケア
肩こりに効果的なセルフケアには以下のようなものがあります:
1.ストレッチ
肩甲骨周りの筋肉を伸ばすことで、緊張を解きほぐすことができます。肩を回す、耳を肩に寄せる、胸を張って手を後ろに回すなど、簡単なストレッチを行いましょう。
2.アイシング
炎症を抑える効果があり、肩の痛みや腫が強い時は冷やすのをお勧めします。
アイスパックを肩に当てる、氷水でシャワーを浴びる、または冷たいタオルを肩に当てるなど、適度な冷却を行いましょう。
3.ホットパック
血行を促進し、筋肉の緊張をほぐすことができます。
ホットパックを肩に当てる、温かいシャワーを浴びる、または温かいタオルを肩に当てるなど、適度な温めを行いましょう。
4.マッサージ
筋肉をほぐし、血流を促進することができます。
自分で行う指圧や、専門家によるマッサージを受けるなど、自分に合った方法を選んで行いましょう。
5.姿勢の改善
肩こりの原因となる姿勢を改善することが大切です。
デスクワークをする際には、背筋を伸ばし、肩を下げるように意識しましょう。
また、長時間同じ姿勢でいる場合には、定期的に休憩を取り、ストレッチを行うようにしましょう。
以上のようなセルフケアを行うことで、肩こりを軽減することができます。ただし、症状が長期間続く場合や、強い痛みやしびれがある場合には、専門家の診断を受けることをおすすめします。