頭痛の鍼灸治療– category –

症状頭痛の鍼灸治療

目次

頭痛とは

頭痛とは、頭部に痛みを感じる状態を指します
。頭痛は、軽度から重度までさまざまな程度があり、痛みの場所や原因によって種類が異なります。一般的には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、片側偏頭痛などの種類があります。

頭痛の原因は様々で、ストレス、不眠、目の疲れ、気象の変化、頭部外傷、高血圧、偏頭痛、神経痛、脳腫瘍などが考えられます。
また、頭痛は症状として現れる場合もあり、インフルエンザやかぜ、片頭痛、脳卒中、脳内出血、脳腫瘍、副鼻腔炎などの病気が原因で発生することもあります。

頭痛が起こった場合は、原因によって適切な対処法が異なります。
軽度の頭痛には、休息やストレッチ、適度な運動、軽いマッサージ、温かいシャワーなどが効果的な場合があります。
しかし、症状が重い場合や、発熱や意識障害などの症状がある場合は、早急に医師の診察を受ける必要があります。

頭痛には様々な原因があり、「国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)」では300種類以上に分類されています。

主に頭痛の分類は一次性頭痛(機能性頭痛)と二次性頭痛(症候性頭痛)の2つに分類されます。

一次性頭痛は直接的に命に関わるような心配はありませんが、一次性頭痛はすみやかに病院にかかる必要があり、「今まで経験したことがない頭の痛み」を感じたら注意しましょう。

一次性頭痛(機能性頭痛)

一次性頭痛には、以下のような種類があります。

  1. 緊張型頭痛
    緊張型頭痛は、頭部全体に痛みが広がる痛みの種類です。
    痛みは軽いものから中程度のものが多く、頭皮、首、肩、顔などに痛みを感じることがあります。緊張型頭痛は、ストレスや筋肉の緊張が原因とされており、日常的な生活習慣によって起こることが多いとされています。
    部位:頭全体・後頭部・首筋
    特徴:頭を締め付けられるような痛み・首肩コリ
    頻度:毎日のように長い間痛む
  2. 片頭痛
    片頭痛は、片側の頭痛や頭部の痛みを主な症状とする頭痛の種類です。
    症状は激しい脈動感を伴うことが多く、吐き気、光や音に敏感になるなどの症状が出ることがあります。
    片頭痛の原因は、まだ完全に解明されていませんが、遺伝的な要因やストレス、食物、ホルモンバランスなどが関係していると考えられています。
    部位:こめかみ・目・頭の片側や両側
    特徴:ズキズキと拍動する痛み・吐き気・下痢・目がチカチカする
    頻度:時々起きる
  3. 群発性頭痛
    群発頭痛は、短時間に頻発する激しい頭痛の種類で、片側に痛みが現れることが多いです。
    症状は、目の充血、涙目、鼻汁、鼻閉などの自律神経症状があることが多く、1日に数回から10回以上の頭痛発作が数日から数週間続くことがあります。
    群発頭痛は、まだ原因が完全に解明されていない病気のひとつですが、遺伝的要因やストレス、環境要因などが関係しているとされています。
    部位:頭全体・目とその周囲
    特徴:目の奥の激痛・涙や目の充血
    頻度:1時間程度に繰り返し、夜間や早朝に多い

    これらの頭痛には、それぞれ特有の原因や特徴があり、適切な対処法が異なります。

二時性頭痛(症候性頭痛)

脳腫瘍

脳腫瘍とは、脳内にできた異常な細胞の塊であり、良性の場合と悪性の場合があります。
脳腫瘍は、脳内の神経細胞、グリア細胞、血管、脳膜から発生することがあります。

脳腫瘍の症状は、場所や大きさによって異なりますが、以下に挙げる一般的な症状があります。

  • 頭痛やめまい
  • 吐き気や嘔吐
  • 難聴や聴力障害
  • 視力障害や二重視
  • 言葉が出にくい、理解力低下
  • 手足のしびれや筋力低下
  • 意識障害やてんかん

これらの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
脳腫瘍の診断は、脳画像検査(MRIやCTなど)によって行われ、治療法は、手術、放射線治療、化学療法などがあります。治療法は、腫瘍の種類や大きさ、場所、患者の年齢や健康状態などによって異なります。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の表面にある脳と髄液の間にあるくも膜下腔から出血が起こる病態のことを指します。
くも膜下出血は、突然強い頭痛や意識障害などの症状を引き起こし、命にかかわることがあります。

くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤、動静脈奇形、高血圧、頭部外傷などがあります。脳動脈瘤や動静脈奇形は、血管の異常が原因でくも膜下出血を引き起こすことがあります。
高血圧は、血圧が高くなることによって血管に負担がかかり、血管が破れてくも膜下出血を引き起こすことがあります。また、頭部外傷が原因で起こることもあります。

くも膜下出血は、急性期には頭痛、意識障害、嘔吐、痙攣などの症状を引き起こします。
治療は、原因によって異なりますが、原因を除去する手術、薬物療法、保存的治療などが行われます。治療には早期発見が重要であり、くも膜下出血を疑った場合はすぐに医療機関を受診することが必要です。

脳出血

脳出血とは、脳内の血管が破れて出血が起こる病態のことを指します。
主に高血圧が原因で、脳出血は命にかかわることがあります。

脳出血は、一般的には急に頭痛やめまい、意識障害、吐き気や嘔吐などの症状を引き起こします。
また、身体のどこかに麻痺やしびれ、言語障害などの症状も現れることがあります。
症状は出血の場所によって異なり、脳の深部や表層、小脳などに出血が起こることがあります。

治療は、原因によって異なりますが、急性期には出血を抑えるための薬物療法や手術が行われます。
また、血圧を下げる薬や血栓予防の薬などが使われることもあります。
治療後のリハビリテーションも重要であり、身体機能の回復を目指すために、理学療法や言語療法、作業療法などが行われます。

脳出血は、予防が重要です。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防することや、適度な運動、バランスの良い食事、ストレスを避けることなどが有効です。
また、脳出血を疑った場合は、早期に医療機関を受診することが大切です。

こんな頭痛には要注意

頭痛には、危険な病気の兆候を示す場合があります。以下に、頭痛が危険な兆候を示す場合をいくつか挙げます。

  1. 突然の激しい頭痛
    脳動脈瘤やくも膜下出血などの重篤な疾患が疑われます。
  2. 痛みの範囲が通常と異なる
    通常、片頭痛や緊張型頭痛の場合、痛みは頭の片側または両側に現れます。しかし、痛みの範囲が異常に広くなっている場合、脳疾患が疑われます。
  3. 意識障害
    頭痛と一緒に、めまいや意識の混乱、ふらつき、バランスの悪さなどがある場合、重篤な疾患が疑われます。
  4. 高熱を伴う頭痛
    高熱とともに頭痛がある場合、脳炎や髄膜炎などの疾患が疑われます。
  5. 失語や麻痺などの神経症状
    片側の体の動きがおかしくなったり、言葉が出なくなったりするなど、神経症状が現れる場合、脳卒中などの疾患が疑われます。

これらの症状が現れた場合には、速やかに医師の診察を受けることが必要です。

頭痛に鍼灸は効果があるの?

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頭痛に対する鍼灸治療には、多くの研究があります。これらの研究のいくつかは、鍼灸治療が頭痛を軽減するのに効果的であることを示しています。
鍼灸治療は、痛みや不快感を引き起こす神経線維に刺激を与え、身体の自然治癒力を高めることができます。

頭痛の場合、鍼灸は筋肉の緊張を緩和し、神経系を調整することによって症状を緩和することができます。
実際、頭痛に対する鍼灸治療の研究は、緊張型頭痛や片頭痛などのさまざまな種類の頭痛に対して有効であることを示しています。
また、鍼灸治療は、薬剤耐性のある患者さんにも適していることが報告されています。

鍼灸が頭痛に効果的な理由は、複数の要因によるものです。以下に、主な要因をいくつか紹介します

痛みの調節

鍼灸は、神経系の働きを調節することで、痛みの発生を防いだり、痛みを軽減する効果があります。
頭痛の場合、神経系の調節により、緊張型頭痛や片頭痛などの痛みを緩和する効果が期待できます。

血流の改善

頭痛の原因の一つに、血流の不良があります。鍼灸は、経絡やツボを刺激することで、局所的な血流を改善する効果があります。
頭痛の場合、頭部周辺の経絡やツボを刺激することで、血流を改善し、頭痛を緩和する効果が期待できます。

緊張の緩和

頭痛の原因の一つに、ストレスや緊張があります。
鍼灸は、神経系の調節により、緊張やストレスを緩和する効果があります。
頭痛の場合、ストレスや緊張が原因で起こる場合に、鍼灸治療によって緊張を緩和することで、頭痛を緩和する効果が期待できます。

以上のように、鍼灸には頭痛の緩和につながる様々な効果があるため、頭痛の治療に利用されています。

頭痛に対する鍼灸のメリットについて

鍼灸治療は、頭痛の治療に有効な代替療法の一つとして知られています。以下に、鍼灸治療が頭痛に対して持つメリットをいくつか紹介します。

  1. 薬に頼らない治療法
    鍼灸治療は、薬を使わずに頭痛を治療することができます。薬による治療が適さない場合や、薬への副作用が懸念される場合にも選択肢として考えられます。
  2. 痛みの軽減
    鍼灸治療は、筋肉の緊張を緩和し、炎症を抑制することで、頭痛の痛みを軽減する効果があります。
  3. 長期的な効果
    鍼灸治療は、頭痛発作を止めるだけでなく、その原因となる慢性的な緊張やストレスを改善することで、長期的な効果が期待できます。
  4. 個別に合わせた治療
    鍼灸治療は、個人に合わせた治療ができます。頭痛の原因や症状、痛みの強さなどを考慮して、鍼灸師が治療を行うため、より効果的な治療が期待できます。
  5. 副作用が少ない
    鍼灸治療は、薬を使わないため、薬による副作用がないというメリットがあります。また、鍼を刺すことによる痛みや、軽度の出血や内出血がある場合がありますが、一般的には安全な治療法とされています。

これらのメリットから、鍼灸治療は、頭痛治療において有効な治療法の一つとして考えられています。

頭痛に対する鍼灸治療は身体のどんな場所に鍼をするの?

頭痛に対する鍼灸治療では、身体の様々な場所に鍼を刺すことがあります。
以下に代表的な鍼灸治療の場所をいくつか挙げます。

  1. 立ち眩みや片頭痛などの血管性頭痛
    首や肩、背中などの筋肉に鍼を刺すことがあります。
    これらの筋肉が緊張している場合、血管が圧迫されて頭痛を引き起こすことがあるため、筋肉の緊張を和らげることで頭痛を軽減することができます。
  2. 神経性頭痛やストレスによる頭痛
    耳や手首、足首などに鍼を刺すことがあります。
    これらの場所には、身体の神経やツボが集中しているため、刺激することで自律神経を整えたり、痛みを緩和することができます。
  3. 偏頭痛や片頭痛
    頭部のツボに直接鍼を刺すことがあります。
    これらのツボには、頭痛を緩和する作用があるとされています。
  4. 緊張型頭痛
    顔の筋肉に鍼を刺すことがあります。
    緊張型頭痛は、ストレスや眼精疲労などが原因となっている場合が多く、顔の筋肉の緊張が関係していることがあります。

以上が、頭痛に対する鍼灸治療の一例です。

頭痛の鍼灸治療に関する論文や研究結果

頭痛の鍼灸治療に関する研究は多数行われており、以下に代表的な研究をいくつか紹介します。

  1. “Acupuncture for tension-type headache: a systematic review and meta-analysis” (2016)

このメタアナリシスは、張口石鍼灸治療法を使用した緊張型頭痛に対する鍼灸治療に関する研究を調査し、鍼灸治療が緊張型頭痛の発作頻度、痛みの程度、および生活の質に対して有効であることを示しています。

  1. “Acupuncture for the prophylaxis of migraine headaches: a multicentral randomized controlled clinical trial” (2012)

このランダム化比較臨床試験は、慢性片頭痛に対する鍼灸治療の効果を調査しました。結果、鍼灸治療はプラセボと比較して、片頭痛の頻度および症状の重症度に対して有意な改善を示しました。

  1. “Acupuncture for the treatment of headache” (2016)

このレビューは、緊張型頭痛、片頭痛、およびその他の種類の頭痛に対する鍼灸治療の効果について調査しました。その結果、鍼灸治療が頭痛の発作頻度、痛みの程度、および薬剤の使用量に対して有効であることが示されました。

これらの研究は、鍼灸治療が頭痛の緩和に対して有効であることを示しています。

セルフケア

頭痛には様々な原因がありますが、以下にいくつかのセルフケアの方法を紹介します。

  1. 適度な休息を取る
    十分な睡眠をとり、定期的に休息を取ることが重要です。疲れた状態で働いたり、ストレスがあると頭痛の原因となります。
  2. 適切な姿勢を保つ
    姿勢が悪いと、首や肩の筋肉に負荷がかかり、頭痛の原因になります。正しい姿勢を保ち、背中をまっすぐにして座るように心がけましょう。
  3. 適切な飲み物を摂取する
    十分な水分を摂取し、脱水症状を防ぐことが重要です。また、コーヒーや紅茶などのカフェインが含まれる飲み物は、頭痛の緩和に役立つことがあります。
  4. ストレスを減らす
    ストレスが頭痛の原因となることがあります。ストレスを軽減するために、深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラックス法を試してみることができます。
  5. マッサージやストレッチをする
    首や肩の筋肉をほぐすために、軽いマッサージやストレッチを行うことができます。これにより、頭痛の緩和につながることがあります。
  6. 静かで暗い場所にいる
    明るい場所や騒音の多い場所では、頭痛が悪化することがあります。静かで暗い場所にいることで、緊張を緩和し、頭痛の症状を軽減することができます。

これらのセルフケアの方法は、頭痛を和らげるための簡単で自然な方法です。しかし、頭痛が重度で長期間続く場合は、医師に相談することをお勧めします。

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