【マタニティ鍼灸】妊娠中の浮腫み

【マタニティ鍼灸】妊娠中の浮腫み
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妊娠中の浮腫み

 妊娠中の浮腫みは30%の妊産婦が妊娠初期から出産までの全ての期間で悩むといわれています。浮腫みとは体内の余分な水分が停滞した状態、もしくはそれが巡っていない状態をいいます。妊娠中はホルモンバランスや血液中の水分量が増える影響で浮腫みやすく、また浮腫みが治りにくい状態になっています。赤ちゃんの成長とともにお腹が大きくなり、妊娠前とは違う身体の状態であるため、鼠径部や下腹部が圧迫され下半身が浮腫みやすくなります。

妊娠中の浮腫みが強い時の身体の状態

 鍼灸治療から見た場合に妊娠中の浮腫みが強い場合の身体の状態として多いのは、下半身が冷えている場合です。通常、妊婦さんは身体があつい場合が多く、妊娠した途端に冷え性が治る方もいます。しかし、妊娠中の浮腫みで鍼灸治療にいらっしゃる方の7割~8割は下半身の冷えがあります。妊婦さんに限らずですが、運動不足は浮腫みの主な原因です。妊産婦も簡単なストレッチや体操は積極的に行う必要があります。

妊娠中の浮腫みの原因

 妊娠中の浮腫みの原因は様々ですが、何らかの疾病がある場合を除き、食事と運動と睡眠のバランスがとても大事です。特に食事は、塩分や糖分を控えめにし、カリウムを多くとる必要があります。また簡単な体操などの運動をして筋肉を適度に動かし血行を良くすると停滞した水分が動き出すことに繋がります。身体の各器官や細胞では睡眠の間に水分の補充が行われます。夜更かしせず早めに寝て朝早めに起きると浮腫みも減りますし、何より胎教に良いです。

妊娠中の浮腫みに対する病院での治療

 妊娠中に限らずですが、ネフローゼなどの病的な浮腫みを除き、浮腫みに対する治療というのは病院ではほとんどありません。特に妊婦さんは服薬できる薬が極端に少ないため、治療が出来ないのが実際です。病院では病気に対しての治療方法は豊富にありますが、それに比べると症状に対しての治療方法は極端に少なくなります。

妊娠中の浮腫みに対する鍼灸治療

 鍼灸治療の研究のなかで、妊産婦に対する鍼灸治療は有効で、かつ安全性が極めて高いとされています。鍼灸治療が最も得意なことは、筋肉の張りをとりその結果血行を良くすることです。浮腫みは水分が巡りにくく停滞した状態ですので、筋肉の動きが良くなり血行が良くなると浮腫みが減ります。鍼灸治療の後に、靴が履きやすい、ブーツがスポッとはいる、ズボンがきつくなくはいる、などの効果がすぐ現れて喜ばれる場合が多くあります。

妊娠中の浮腫みに対するセルフケア

 浮腫みは主に下半身を中心に出現します。身体の血流の主要な動きは心臓の拍動が担っています。心臓から出て全身に栄養や酸素を血液とともに運ぶ血管を動脈といいます。動脈はその血管の壁が筋肉のようになっており、自発的に血液を動かすことができます。その動脈で運ばれた栄養や酸素と交換に、老廃物や不必要なものを回収してまた心臓に戻る血管の事を静脈といいます。静脈はペラペラの血管で、静脈そのものは動くことができません。静脈は心臓や他の臓器に戻っていく時に筋肉の動きを利用して、周りの筋肉の動きで血管を動かして戻っていきます。そして下半身の静脈の動きに大きな影響を与えているのがふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉が柔らかくしっかり動いていれば、浮腫みにくくなります。

ふくらはぎのストレッチや、かかと上げ運動などをすると浮腫みに効果的です。

 妊娠中の浮腫みで鍼灸治療に来院される多くの方は下半身の冷えがあります。冷えに対する考え方は3つ。

1.保温 

 読んで字のごとくですが、重ね着や常時靴下をはくなどがこれにあたります。ただし保温は熱を外に逃がさない工夫であり、外からの冷えを防ぐ工夫です。これは体熱がある事が前提になっています。つまり、いくら保温したところで元々冷えている場合にはそれ以上の放熱は防げるが温まる事はあまりありません。保温はとても大事ですが身体に熱量がある事が前提になります。

2.加温

 熱を外から加えることです。お風呂に入る、お灸をする、なにかで温めるなどがこれにあたります。加温して保温すればある程度の熱を保つことができますし、定期的に加えていくと底上げはされていく事が多いため有効です。しかし、自分の身体から熱量が生まれているわけではないので、定期的に加え続ける必要があります。

3.産熱

 自分の身体から熱を生みだすことですが、これは主として運動で、その補助として胃の状態が挙げられます。ラジオ体操などの簡単な運動をして、自分の身体の中から熱を生みだすことが最も効率的です。また胃が健やかであれば、産熱しやすいです。食べ物はカロリーと表記されますが日本語に訳すと熱量とされます。胃などの消化器系が十分に機能していれば熱量は生み出しやすいといえます。

YI’N YANGの鍼灸治療

 YI’N YANGの鍼灸治療は、治療による心地良さを重視しています。近年の研究で、心地よさを伝える神経(LTM-C)は優しく穏やかな鍼灸の皮膚刺激によって最も良く働くことが考えられるようになりました。優しい穏やかな鍼灸によって心地よさを伝える神経が良く働き、オキシトシンやドーパミンと呼ばれるホルモンが放出される可能性があります。このドーパミンは身体機能、運動、学習、感情、意欲、ホルモンの調節など多くの生命活動に関与しており、オキシトシンは幸福感を高めたりストレスの軽減に関与しています。心地よい鍼灸治療は、これらの神経やホルモンが関与して身体の症状を減らしたり取り除いたりします。鍼灸治療の元来もつ痛みの治療効果と、心地よい鍼灸治療による治療効果で鍼灸治療の良さを最大限に引き出します。

横山奨 著者:横山(YI’N YANG総院長)

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