不快性射入反射(D-MER)はまだまだ知っている人が少ない症状ですが、産後の不調の1つです。
研究などもまだ進んでいない部分がありデータとして少ないですが、概念としては2007年ごろから出てきた症状です。
不快性射入反射(D-MER)とは?
D-MERは、授乳のときに一時的な不快症状を自覚することを言います。
乳汁が分泌されることを『射乳』といいますが、
この射乳という生理学的な反応が「不快などの様々な症状」を起こします。
授乳を終えてしばらくすると症状がすっと改善するのが特徴です。
出産後、数回授乳した後に突然起こることもあれば、1人目のお子さんから起こる人もいれば、2人目以降から起こる方もいるなど発症のタイミングは個人差があり、まちまちです。
不快性射入反射(D-MER)の症状
不快性射乳反射(D-MER)の症状は、授乳時に感じる不快感ですが
不快感にも精神的な不快感、身体的な不快感があります。
精神的な不快感
不安、悲しみ、恐怖、気分の落ち込み、緊張、感情的な動揺、いらいら、絶望感、否定的な感情、憂鬱感
身体的な不快感
鳥肌が立つような不快感、胃の不快感、吐き気
具体的な症状として上記のような症状があることが分かっています。
不快性射入反射(D-MER)の原因
不快性射入反射(D-MER)の原因について分かっていない事が多く乳腺炎ケアガイドラインによると、個人の成育歴や分娩の体験などは関連性がなく、ドーパミンが関係しているとは分かっていますが、症状が出る人と出ない人がいる理由についてははっきりしていないとのことです。
現在分かっている不快性射入反射(D-MER)の原因は、脳内物質であるドーパミンの急激な変化によるものとされています。
授乳中には、乳汁を分泌するために、プロラクチンと呼ばれるホルモンが放出されます。プロラクチンは、脳下垂体にある前葉下部細胞から分泌されるホルモンで、乳汁を生成し分泌するために必要な刺激を与えます。一方、D-MERの原因となるドーパミンの急激な変化は、授乳中にプロラクチンが放出される際に起こります。ドーパミンは、脳内での報酬系の役割を担っており、快感や喜びを感じるときに放出されます。ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する作用があるため、授乳中にドーパミンのレベルが急激に下がることが分かってます。
つまりD-MERは、授乳中にプロラクチンの分泌が起こることで、ドーパミンの急激な変化が引き起こされることによって発生します。
不快性射入反射(D-MER)の鍼灸治療
鍼灸治療の効果として様々なものがありますが、その中の1つとしてドーパミンの量が増加する事が分かっています。
下記論文にて鍼灸刺激によるドーパミン量の変化について報告があります。
【鍼灸の作用機序から神経内科領域の可能性を探る】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/52/11/52_1294/_pdf/-char/ja
また、不快性射入反射の不快感対策として気を紛らわせることも効果的ではないかという考察もあり音楽を聴いたり、アロマテラピーなど快適に過ごすことが助けになると考えられています。
そういった観点からYI’N YANGの心地良い無痛の鍼灸治療はとても有用であると思います。
著者:来間